しいたけ乾燥方法
シイタケの乾燥法
椎茸の乾燥方法・要点
以下の「椎茸乾燥のポイント・要点」は昭和60年に当社が発行した小冊子をウェブ版として復刻にしたものです。椎茸乾燥機を使った椎茸の乾燥方法(シイタケ乾燥法)、品質のよい乾燥椎茸の作り方をまとめたものです。基本的なことですから、多くの食品乾燥にもご参考になると思います。ご利用いただければ幸いです。
ご注意とお願い
①この「乾燥のポイント」の著作権は黒田工業株式会社にあります。
 文章内容をサイトなどに引用することはご自由にどうぞ。

②このページは大変長いです(全1ページ)。保存・印刷には
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◆リーダー椎茸乾燥機のことは食品(椎茸)乾燥機
 またはリーダー乾燥機からご覧ください。



椎茸乾燥のポイント
- 儲かる乾椎茸づくりのために -
黒田工業株式会社
広島県福山市新浜町2-4-28

TEL:0849-54-0246 FAX:0849-54-0545
URL:www.kuroda-dryer.co.jp    E-Mail:info@kuroda-dryer.co.jp


「椎茸乾燥のポイント」(椎茸の乾燥方法・生シイタケ乾燥法)

編集・発行: 黒田工業株式会社
初版: 昭和60年7月1日
再販: 平成13年7月1日

本書の著作権は黒田工業に属します。リンク大歓迎、ご自由にどうぞ。連絡は必要ありません。

再版にあたり

この小冊子は、昭和60年に当社より少部数で発行した「椎茸乾燥のポイント」(椎茸乾燥法)の復刻版です。当時は日本の椎茸栽培の最盛期でした。生産者の皆さまの生産意欲も高く、椎茸作りの「名人」が数多くいました。この小冊子は、そうした名人の皆さまのノウハウをもとにして作成しました。
しかし、ご存じのように現在、乾椎茸の市場環境は一変しています。かって、乾椎茸は農産物では貴重な輸出品でしたが、いまや、国内生産者を保護するためのセイフガードが云々されています。高品質なよい椎茸を作るノウハウは、後継者難から失われてしまいそうです。

日本が誇るべき生産技術を伝承すべく、微力ではありますが、この小冊子を再販し、ウェブ上で公開することにいたしました。産業史的な意味もあると考え、できるだけ原本の記述をいかしました。主旨をご理解いただきご利用いただきますよう、お願い申しあげます。

なお、ここで述べている商品価値の高い乾椎茸とは、日本国内での品質評価基準に基づくものです。ご存じのように、消費地により品質評価の基準は大きくことなりますので、ご承知ください。

黒田工業株式会社
平成13年7月1日

はじめに

乾椎茸を生産されている皆さまにおかれましては、商品価値の高い、よい乾椎茸づくりに日ごろ苦心されていることと存じます。

この小冊子は、商品価値の高い乾椎茸はどのようにすれば作れるのか、乾燥の要点(シイタケ乾燥法)をまとめたものです。「失敗しないやり方」、「誰にでもできること」だけを集めた基本編ですが、内容は優秀な生産者の方々のご経験と当社の研究実績をベースにしていますので、安心してお奨めできる手引き書と自負しています。
黒田工業株式会社
昭和60年6月1日

 目次
1 品質の高い乾椎茸をつくろう 4p
2 採取時のポイント  4p
ポイント1 採取時期が大切
ポイント2 雨に濡らさないで採取する

ポイント3 早めの採取
3 乾燥の前処理時のポイント  5p
ポイント4 早めの乾燥
ポイント5 エビラごとに選別しておく 
ポイント6 乾燥庫の中段によい椎茸をおく 
ポイント7 椎茸に合わせて並べ方を変える 
ポイント8 バレ葉はスライス椎茸にする 
4 乾燥時とそれ以降のポイント 7p
ポイント9 実績のある乾燥機(椎茸乾燥機)を選択する 
ポイント10 失敗のない乾燥方法をまず収得する 
ポイント11 全自動型乾燥機を使
ポイント12 薪兼用型の乾燥機は燃料費がやすくなる 
ポイント13 選別出荷する 
5 乾燥する環境の整備 10p
ポイント14 専用の乾燥小屋をつくる    
ポイント15 乾燥小屋の換気をよくする 
ポイント16 複数台設置するときの工夫 
6 付録 11p
乾燥のしくみと乾燥機のはたらき
乾燥の過程と乾燥機の操作
乾椎茸の規格表(昭和60年当時の参考単価付き)
乾燥小屋を作る時などの参考に
椎茸用語集


椎茸乾燥のポイント(本文)
- 儲かる乾椎茸づくりのために -

1 高品質の乾燥椎茸を作りましょう

乾椎茸の価格は品質により大きな差があります。供給過剰の状態で平均単価が安い場合でも、品質の良いものは高値を維持しています。販売単価の高い(=品質の良い)乾椎茸を生産しないと利益は上げることはできません。( 「付3 椎茸規格表」を参照ください。)

  「椎茸の発生」は環境に大きく影響されます。しかし、乾椎茸は、採取してから乾燥までの「取扱い」で品質に大きな差が出てきます。ご存じのように、前者は人間がコントロールするのはかなり大変で、生産者の皆さまも多大の努力をはらわれています。それと比較して、後者は人間がほとんどコントロールできる作業です。苦労して発生させた椎茸は、あと少しのご苦労を払うことで、それ以上の大きな実りをもたらしてくれるでしょう。本書では、この「取扱い」のポイントを述べることにします。


2 採取時のポイント

ポイント1 採取時期がもっとも大切
採取する生椎茸の状態で、乾椎茸の良し悪しの7割が決まります。乾燥の上手、下手は3割といわれています。まず良い状態で採取すること。このことの重要性はいくら強調しても、強調しすぎることはありません。以下はその具体的なポイントです。

ポイント2 雨に濡らさない。
雨子(雨に濡れた状態で採取した椎茸)にすると、ヒダや傘の色を鮮明に仕上げることが難しくなります。乾燥時間もかかるうえに、燃料代もかかります。椎茸は雨期に発生しやすいわけで、実作業では大変ですが、そのご苦労は十分報われます。

ポイント3 早めの採取
椎茸の採取は原則として5分開きから8分開きの範囲で行います。9分以上や全開した椎茸は商品価値は低くなります。一斉発生が予想される時は、できるだけ早取りに努めましょう。採りきれないときは、取り遅れのものは後回しにして、適期のものから採取します。
また、生椎茸は乾燥すると、1分ほど開きます。そこで気持ち早めに採取すると丁度よい結果が得られます。
冬姑: 5分~(6分)開き。膜の一部が切れた状態で採取する。
香姑: 6分~(7分)開き。膜が切れた状態で採取する。
香信: 7分~(8分)開き。縁が開ききらない状態で採取する。



3 乾燥処理時のポイント

ポイント4 早めの乾燥。
ほだ場で採取した椎茸は迅速に乾燥場に持ち帰り、すぐにエビラ(乾燥用のトレイ)に拡げて乾燥しましょう。乾燥機に入りきらない残りの椎茸は、予備エビラにならべ、風通しのよいところに置きます。椎茸を採取篭に入れたまま積み上げておいたり、山積みにしておくと、早ければ2~3時間で色つやが悪くなり、ヒダもたおれ、変色し、更に進めば、腐ってしまいます

[一口知識]  乾燥機の基本は収容量(処理量)です。一斉発生時も対応できるよう乾燥能力に余裕がある設備ですと安心です。原木栽培で乾燥機を選ぶときの目安を以下にまとめましたので、ご参考にしてください。
保有原木量(本数)                   乾燥機(トレイ収容枚数)
1000本以下                     6型,12型(6,12枚)
1000~3000本                          15型(15枚)
3000~5000本                          30型(30枚)
5000本以上            60型(60枚)
ポイント5 エビラ(乾燥トレイ)選別
採取した椎茸をエビラに並べるとき、大きさと形状によってエビラ毎に分けるようにします。こうすることにより、乾燥時間は短くなり、仕上りもよく、後の選別も楽になります。一石三鳥!ですね。以下のように3種類に分けるとよいでしょう。
Aグループ:小さめの椎茸
Bグループ:質の良い中葉、大葉
Cグループ:質の悪いバレ葉、大葉

ポイント6 中段に良い椎茸を並べる。
エビラ選別(ポイント5参照)した椎茸は、乾燥機に以下のように入れると全体として仕上がりもよく、乾燥時間も短くてすみます。30、60型を例にすると、

上段(11~15段): Aグループのエビラ(小さめの椎茸)
中段(4~10段):  Bグループのエビラ(質の良い中葉、大葉の椎茸)
下段(1~3段):   Cグループのエビラ(質の悪い大葉、バレ葉の椎茸)


[一口知識] 椎茸乾燥機の主流はリーダー号乾燥機のような縦型(吹き上げ式)ですが、この方式では、乾燥初期には乾燥庫内の上下で10度位の温度差(下段が高く、上段が低い)ができます。湿度は逆に上段ほど高くなります。
この結果、乾燥は下段は早く上段は遅くなりがちです。この乾燥速度差をなくすために、大きめのものは下段にいれ、小さめのものは上段に入れるわけです。中段は風量、湿度などの条件が最もよい位置です。(なお、別の手段として、乾燥中期には「半循環」にします。)

ポイント7 椎茸にあわせて並べ方を変える
椎茸は、熱風の流れる方向に変形する性質があります。リーダー号乾燥機をはじめとする縦型ではこの性質を上手に利用して、椎茸をよりきれいに仕上げることができます。

質の良い椎茸:傘をうえに脚を下にして、風が通りやすいように重ねないで並べる。
ヒダが立ち、よい仕上がりになります。傘は少し開きます。(図1-イ)

開ききった悪い椎茸:傘をしたに脚を上にして、並べる。
バレの度合いが少なくなり、多少の巻き込みがでてきます。ただし、ヒダは倒れてしまいますので、よい椎茸には薦められません。(図1-ロ)

[一口知識]横吹き式乾燥機では、風の流れにより椎茸が「おむすび型」に変形しがちで、ひだも倒れ易くなります。(図1)( 図1 風の流れと椎茸の変形 )
ポイント8 バレ葉はスライスする
特に大きく、雨に濡れ、バレた椎茸はそのまま乾燥しても、24時間以上かかり、経費がかかる割に単価が安く採算にのりません。このような椎茸は、脚を切り、3mm程度にスライスして乾燥することをお奨めします。重量は2割ほど減りますが、乾燥時間は約5時間と1/5位ですみます。また、単価も上がりますので採算にのりやすくなります

[一口知識]スライスする場合、斜め切りにすると、厚肉にみえ単価もあがります。斜め切りができるリーダー椎茸スライサーSA5をご検討ください。切断面もシャープです。


4 乾燥時とそれ以降のポイント
品質の良い(価格の高い)乾椎茸とは、傘の変形やヒダの倒れができるだけ少なく (もとの生椎茸に近い大きさと形をとどめ) ヒダの色が黄金色で、傘の色つやがよい状態の乾椎茸です。

乾燥機を使って、上のようなよい乾椎茸を作るには、合理的な乾燥技術とその技術を生かせる乾燥機が必要です。

ポイント9 実績のある乾燥機を選ぶ
「どこのメーカーの椎茸乾燥機でも性能は同じ」とは決していえません。価格が安いという理由で乾燥機を選ぶと、結果的には損をしている場合もあります。乾燥技術をお持ちでも、乾燥機の性能が悪ければ、よい仕上がりとはなりません。基本設計のよい乾燥機を選びましょう。(「付1 乾燥のしくみと乾燥機のはたらき」をご参考に)

最も信頼できる選択のポイントは機会の「実績」ではないでしょうか。全国津々浦々で使われ、しかも品評会で常に上位に入賞されている生産者の方がご使用の乾燥機を選べば、間違いありません。

[一口知識] ちなみに、当社の「リーダー号乾燥機」の実績(昭和60年当時)をご紹介すると、昭和37年直火式の箱形熱風乾燥機を日本ではじめて開発。以来、生産累計5万台以上、もちろんトップシュアの乾燥機です。また、全国椎茸品評会での上位入賞者の多数の方が、リーダー号をお使いです。例えば、昭和60年全国品評会での成績は以下のようです。

33回乾椎茸全国品評会入賞者のご使用機種(農業経済新聞社しらべによる)
農林大臣賞(5部門)                     リーダー使用     2人
入賞者5 人                TA社使用               1人
                       TO社使用        1人
                       O社使用                  1人

林野庁長官賞(5部門)      リーダー使用    6人
                        O社                           4人
                        F社                           3人
                        
K社                        2人
                       その他の会社           5人

注) 入賞者は複数メーカーの機種を使用している場合があります。

ポイント10  失敗のない簡便な乾燥方法をまず習得する。
椎茸乾燥の標準的な設定のしかたを以下に述べます。まずこれで乾燥をマスターし、経験を積まれた後に、各自で工夫してください。「付 乾燥の過程と乾燥機の操作」も併せてお読みください。

乾燥時間:乾燥時間は18~20時間が目安です
雨子(雨に濡れた椎茸)はこれより長くかかり、日和子(雨に濡れていない椎茸)で 小粒のものは短くなります。

乾燥温度:乾燥温度は38℃~60℃の間で行います
初期温度は38℃~45℃です。温度が高いと乾燥時間は早くなりますが、色が濃いめに仕上がります。
雨子は40℃以下が安全です。(重要)

最終温度は60℃で1時間乾燥します。これは椎茸に発生するという害虫卵を殺虫するためです。
昇温は1回に5℃以下で行います。乾燥は初期温度で開始し、最終温度で終了する行程ですが、その間(特に乾燥初期~中期)は変形を防ぐために、徐々に温度を上げる(昇温作業)必要があります。

吸排気操作:吸排気口の操作は全予定乾燥時間の1/3ずつを割り当てるのが、安全です
18時間予定の場合は、全開6時間、半開6時間、全閉6時間、となります。特に,雨子は全開時間が短いと乾燥不良(煮え子)の原因になりますのでご注意。

ポイント11 全自動型(プログラムコントローラー付き)乾燥機をつかう。
事前にセットすれば、後は自動的に昇温、吸排気操作、風量調節、を機械が行う全自動型(プログラム・コントローラー付き)乾燥機があります。大変便利であるだけでなく、仕上がりのよい乾椎茸が作れます。

乾燥の過程で(特に初期~中期)温度や風を急激に変化させると、変形、しわ、ヒダの乱れなどが生じ易くなります。しかし、プログラム・コントローラー付きの乾燥機なら変化をなめらかにするようにセットできますので、仕上がりのよい乾椎茸ができるわけです。
[一口知識]プログラム・コントローラー付き乾燥機は各社で販売されていますが、昇温方法には2種類あります。無段階自動昇温と、タイマーによる有段階昇温(例えば4段階)です。(下図参照)
昇温が滑らかなことは前者であることは言うまでもありません。リーダーのプログラム・コントローラーは発売以来無段階昇温です。(注、現在は更に便利なコンピュータ・プロコンです)

ポイント12 薪兼用型の乾燥機は燃費を節約できる。
薪兼用型は林業改善資金が適用される(注、昭和60年当時)だけでなく、薪が手近に入手できる場合はそれを燃料として利用すれば、灯油の使用を節約できます。どの位の節約になるかは、機種により使い方により大きな差がありますが、その目安を以下にのべます。

よく枯らした薪1本分は灯油0.7Lにほぼ相当します(薪のカロリーを2800kcal/kg、10cm径*50cm長さのもの約2.5kg,とすると2800*2.5=7000kclとなります)当社30M型の場合、一度に9本位投入できますから、一度の薪投入で約6.3L(0.7L*9=6.3L)節約できる計算になります。

[一口知識]薪のカロリーは材質により大きな差があります。生木は水分が多くカロリーが低いので、燃料として適しません。参考までに材質別のカロリーをあげます。
よく乾燥した薪(松):       2800~3000kcal/kg
6カ月位おいた間伐材(杉・桧):2200kcal/kg
廃ホダ(生椎茸用):       1000kcal/kg

ポイント13 選別出荷
乾椎茸を出荷するときは、選別してから出荷した方が単価が上がり、有利です。乾椎茸は品柄や、大きさ、肉厚などから多くの規格に分けられています。(付 椎茸規格表を参照)
個人規模では生産した椎茸を規格どおりに選別することは大変です。そこで、少なくともつぎのように選別をしてから出荷するとよいでしょう。

1.大きさの選別(香信の中肉が主体の場合は、これだけでもよい)
2.厚肉と中(冬姑・香姑)
3.花系(特に値が良い場合あり)
[一口知識]出荷された乾椎茸は各市場で入札にかけられ、一箱毎に値付けされます。この時、箱に9割よい椎茸が入っていても、1割悪いものが混じっていると、そちらに目がいき「山成品」として値が付いてしまうことがあります。


5 乾燥する環境の整備

効率よく、品質よく乾燥するためには、乾燥機を設置する場所の環境整備が非常に大切です。

ポイント14 専用の乾燥小屋を作る
乾燥機を既存の納屋や、軒先に設置する例を多く見かけます。置場所がない、予算がない、等の理由と思われますが、専用の乾燥小屋を作ることをお奨めします。
乾燥小屋は椎茸経営における設備投資のひとつです。作業性、換気のよい乾燥小屋を作りましょう。詳しくは、「付 乾燥小屋をつくるときに」を参考にしてください。

納屋や軒先がお奨めできない理由は以下の条件が悪いからです。
      1.作業性が悪い:狭い作業スペース(納屋)、雨天での作業(軒先)
      2.換気が悪い:天井が低い(納屋)
      3.防火に問題がある:可燃物がそばにある(納屋)
      4.燃料を多く消費する:外気温の影響を受けやすい(軒先)

ポイント15 乾燥小屋の換気をよくする
乾燥小屋を今すぐ作ることは無理だという場合でも、現状をよくする工夫が大切です。今すぐ実行でき効果も大きいことは「換気をよくすること」です。いくらよい乾燥機を使っても換気が悪いと椎茸は乾燥しません。

 換気をよくするには、空気の取入れ(低い位置)と、空気の排出(乾燥機の天井付近)の両方に注意する必要があります。詳しくは「付 乾燥小屋をつくるときに」を参考にしてください。

       1既存の窓、戸を開ける。
      2小屋の上部に換気扇、または換気口を作る。
       小屋の下部に吸気口を作る

[一口知識]30型の乾燥機の場合、生椎茸200kgを処理できます。これが仕上がり乾椎茸で20kgになります。180kg(200-20)は生椎茸に含まれている水分です。この水蒸気は乾燥中に水分として乾燥機の外に排出されます。(ドラム缶1本分です!)換気の悪い小屋では、この水蒸気が中に充満してしまいます。ちょうど、風呂場で洗濯物を乾燥しているような状態になりますので、全く乾燥できません。

乾燥機に取り入れる空気の温度は、乾燥温度よりできるだけ低い方がよいのです。換気が悪いと、室温が高く(高湿の状態に)なりますので、乾燥温度との温度差がなくなります。こうなると、乾燥機で乾いた熱風を作ることができません。換気がいかに重要か、ご理解いただきたいと思います。

ポイント16  複数台を設置する時の注意
乾燥機を設置する場所は、1台の場合は作業しやすい場所で換気に留意すればよいのです。しかし、複数台を設置する場合は、注意が必要です。
1台の乾燥機から出る蒸気が、他の乾燥機に吸入しないように工夫しないと、乾燥が長びくことがあります。


1
乾燥機を互いに、できるだけ離す。(広い小屋の場合)
2乾燥機の天井にダクトをつけ、天井か壁面に排出する。壁面の場合は風が吹き込むと逆効果になりますので注意してください。



椎茸乾燥のポイント(付録)
- 儲かる乾椎茸づくりのために -
黒田工業株式会社

付1 乾燥のしくみと乾燥機のはたらき(理論編)

椎茸が乾燥するとは、椎茸の内部の水分が外気中に蒸発することです。詳しく見ると次の2つのことが起きています。
1椎茸の表面で水分の蒸発が行われる。
2これと伴に、椎茸の内部より表面に向かって水分の内部拡散が行われる。


椎茸をはやく、きれいに乾燥するためには、上の2つの速度のバランスが乾燥期間中をとおして、とれていることが重要です。
乾燥機では、温度(熱)、風量、吸排気の3つを操作することができます。これらをうまくコントロールして、表面からの蒸発と、内部拡散のバランスをとりながら乾燥することができます。以下に、このはたらきについて述べてみます。
温度(熱)のはたらき:
椎茸の水分を蒸発させるのに必要な気化熱(1Kgの水を蒸発するのに540Kcalの熱量が必要)を与える。

乾燥初期の水分の多い椎茸では、椎茸に与えられた熱はすべて気化熱として使われるので、椎茸本体の温度(品温)はそれほど上昇しない。また、乾燥機の下から熱風を噴き出すので、下段の椎茸から熱が与えられるため、上段に行くに従い熱風の温度は下がります。(乾燥初期では下段より上段は、約10度低くなります。)
風のはたらき:
1 温度(熱)を椎茸まで運ぶ、
2 蒸発した水分を椎茸の回りから吹き飛ばす。


風が弱すぎると、椎茸の表面からの蒸発が緩慢になるため、乾燥時間がかかり過ぎます。逆に強すぎると、表面からの蒸発は早くなりますが、内部拡散とのバランスがくずれ表面が革質化してしまいます。(乾燥初期から中期にかけては急激に風量をかえるとこのバランスがくずれ変形の原因になります)また、熱を十分に椎茸に与えることができず、機外に無駄に排出してしまいます。
吸排気のはたらき:
乾燥初期。吸排気口を全開にすると、吸入口より入った冷たい空気は乾いた熱風になって、椎茸に熱を与えた後、蒸発した水分とともに、排気口(天井)から排出されます。
乾燥中期。吸排気口を1/2開にすると、1/2は外気から空気を取り入れ、1/2は排気をそのまま循環します。この理由は中期には、蒸発する水分も少なくなり、排気中の湿度も低くなります。排気中の熱は外気よりも高いので、これを循環して利用すれば燃料が節約できます。

乾燥後期。吸排気口を全閉にすると、機内で空気は全循環(正確には95%位)します。循環にすると温度はあまり下がりませんので、燃料を大幅に節約できます。


付2 乾燥の過程と乾燥機の操作

椎茸の乾燥過程は大きく分けると、初期、中期、後期の3期となります。各期の特長とその時期における乾燥機の操作を説明します。(図1参照)
なお、操作は上段のぞき窓にある椎茸の状態を基準にしてください。

乾燥初期:
短時間に多量の水分を蒸発するので、乾燥機の上部は水蒸気が飽和状態に近くなります。乾い た強い風で水分を機外に排出する必要があります。
         吸排気口: 全開(開放)
        風量:    強
        開始温度: 38℃~45℃
乾燥中期
乾燥椎茸の形状が決まる重要な段階(5分乾~7分乾)
        中期に入るめやす:表面が乾き、ツヤが出始める。ヒダの色がつき始める。
        吸排気口:      半開(半循環)
        風量:         中
        温度:         50℃~55℃
乾燥後期:
椎茸の中心部の水分を乾燥する段階(仕上げ期)水分はゆっくりとしか蒸発しない。風より熱で乾燥するので、風量は弱くてよい。
        後期に入るめやす: ヒダが乾き、黄金色になる。傘は縁が巻き込み、半分乾く。
        終了のめやす:    脚の付け根が乾く。(ツメが立たない)
        吸排気口:       全閉(全循環)
        風量:          弱
        最終温度:      乾燥終了前の1時間以上,,60℃~65で乾燥

注)歩留まりをよくしようと未乾燥で終了すると、カビが発生し易くなります。過乾燥の場合は歩留まりが悪くなり、不利です。含水率13%が適正です。
図1 乾燥過程


付3 椎茸規格表(参考)
椎茸の規格は市場ごとに多少異なります。出荷する市場の規格表でお確かめください。

椎茸規格表と市場価格の例(昭和60年7月16日当時)

品柄

単価

形状面

色つや

 

単位 Cm

百円/Kg

フチ

表面

肉厚

形状

ヒダ

表面

ヒダ

花冬茹

大(3~5)

 

半球形

巻込み

亀甲状に亀裂

厚肉

整っている

乱れ倒れなし

優良

淡黄色または乳白色で鮮明

小(1~3)

53-71

茶花冬茹

 

80-111

冬茹

大(3~5)

65-83

半球形

十分に巻込み

皺が少ない

厚肉

整っている

乱れ倒れ少ない

優良

淡黄色で鮮明

中(2~3)

42-55

大(3~5)

56-74

ほぼ半球形

巻込み

皺が少ない

中肉以上

偏平、変形の混入可

乱れ倒れがあまり混入なし

優良

淡黄色で色落の少ない

中(2~3)

34-46

小粒

 

19-30

-

-

カケ少ない

 

 

香茹

5以上)

83-105

中開程度

巻込みよく

-

中肉以上

バレ、カケ偏平の混入がほとんどない

乱れ、倒れが少ない

優良な

淡黄色で鮮明

5以上)

59-73

ほぼ中開

巻込みあり

-

多少の偏平、変形の混入可

乱れ倒れがあまり混入なし

色落ちの少ないもの

香信

大葉(6以上)

73-87

 

わずかに巻込み

滑らかで皺が少ない

中肉以上

形が整っている

乱れ倒れが少ない

優良な

淡黄色で鮮明な

中葉(4~6)

66-80

小葉(2.5~4)

30-40

大葉(6以上)

34-44

 

皺が少ない

形の不揃い可,バレ、カケの混入がすくない

乱れ倒れのひどいものがあまり混入していない

色落ちの少ない

中葉(4~6)

30-41

小葉(2.5~4)

23-31

アレ葉

(6以上)

20-32

全開

 

 

厚肉薄肉混じり

変形している

乱れ倒れたもの

優良な

多少の色落ち可

(6以下)

16-22

ジャミ

(2.5以下)

11-23

 

 

 

変形可

スライス

29-41

脚は傘より1Cm以内で切り、 カケの混入が少ない

断面白

淡黄色

12-18

脚は傘より1Cm以内で切り、 カケの混入可

多少の色落ち可

格外品

 

9-19

黒子、煮え子、極端に色落ちしたもの

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



付4 乾燥小屋を作る時などの参考に
水平面:
本体寸法の他に以下を考慮してください。
 乾燥機前面は2m以上必要(エビラを出し入れするため)
乾燥機左右、後部は40cm確保(点検などのため。なお、当社30、15型では右側面に50cm確保、12,6型では後部に50cmを吸気のため確保してください)
床はモルタル敷にする。
椎茸をエビラに並べるスペースを確保する。
壁面、天井など:
排気の方法
換気扇の場合:取付け高さ=2.1Mとし、30枚機では35Cm径、60枚機では40Cm径のものを1機あたり1台取付ける。
窓、換気口の場合:取付け高さ=1.9M以上の部分が開くこと。開口部の大きさ合計=90Cm*90cm以上(30型の場合)
吸気の方法
窓の場合:排気窓から離して、開口部の大きさ合計=90Cm*90Cm以上(30型の場合)
吸気口の場合:水平面から20~30Cmの位置に、開口部の大きさは窓と同じ。

天井高さ
3M以上、但し換気扇を取付けた場合は2.5Mでも可能。

その他

油の配管工事:複数設置の場合は行ったほうが良い
油タンク:屋外に設置の場合は雨風を避けられる場所に
電気工事:30型=15A、60型=20Aを確保してください。


付5 椎茸用語集

本書の中で記述した椎茸関連の用語説明です。

用語

読み方

説明

雨子

アマコ

採取時に雨に濡れた椎茸のこと。

日和子

ヒヨリコ

採取時に雨に濡れていない椎茸のこと。

冬茹

ドンコ

椎茸の品柄の一つ。傘が半球形で、肉厚の乾椎茸

香茹

コウコ

椎茸の品柄の一つ。傘は半開程度で、縁の巻き込みがよく、中肉以上。

香信

コウシン

椎茸の品柄の一つ。傘が開き、縁は僅かに巻き込み、中肉以下の乾椎茸。

花冬茹

ハナ

冬茹の一つ。傘は白色が多く、亀甲状の裂け目がある。天白冬茹ともいう。

茶花冬茹

チャバナ

冬茹の一つ。傘は茶色で亀甲状の裂け目がある。

ホダ場

ホダバ

種菌した原木を並べ、椎茸を発生させている場所。

エビラ

エビラ

採取した椎茸を並べる乾燥用トレイ。(底は網目になっている)

バレ

バレ

傘が開ききった状態の椎茸。

椎茸の傘のこと。大葉、中葉、などという。

煮え子

ニエコ

乾燥が悪く、蒸れた状態になった椎茸のこと。

ホダ木

ホダキ

原木(ナラ、クヌギなど)に種菌した状態の木のこと。


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